fc2ブログ

*All archives* |  *Admin* |  Popluar Blog Ranking |  FC2 Blog Ranking |  EDFLKU Home Page

2011/01
≪12  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   02≫
Middlemarch Reading Complete
おめでとう。おめでとう。よくやりましたね。きょうMiddlemarchを読了しました。785頁にも及ぶGeorge Eliotの大作、いいえ、英文学史上に燦然と輝く大作。40名ほどいた前期の受講者は、後期は半分以下に減りました。そのうち、これまで一度も休まず出席した人は2人。名前を発表したら、自然と拍手がわきおこりました。全国の大学英文科は200以上。そこで学ぶ学生の中で、この作品を原書で読了した人が、いったい何人いるでしょうか。むずかしすぎて不消化な人もいるでしょう。でも、いいのです。2週間後の試験までにおぎなえば。「読了した」という感動が大切。お金では買えない努力の証し。自分を褒めてあげてください。彼女たちの根性にこころから敬意を表します。
Students' Two Aspects and Teachers' Responsibility
 学生支援委員長2年の任期を終えて学んだことは、第1に、学生たちは「頼もしい自立した大人」であると同時に、「社会的に未熟な頼りなさ」を合わせ持っているということ、第2に、前者を伸ばし、後者をよくするために、幾ばくかの責任が教職員側にもある、ということだ。これまで前者の感覚で彼らに接していたが、後者の現実を知るにつけ、大学教員は研究・教育に専念するだけでは不足で、彼らの生活指導まで守備範囲にすることが期待されていることに気づかされた。毎月開かれる全学委員会で彼らの生活をめぐる諸問題が熱心に討議され、学部の教職員のかたが所属生によって引き起こされる大小さまざまな問題に真摯に対処しておられるのに接するにつれ、意識を変えなければならないのかもしれないと真剣に思った。
 その問題のうちの最たるものが自殺者の増加だ。この2年間に全学で7人がみずからの命を絶った。そのうち少なくとも2人は文学部の学生だ。理由は精神的なものから経済的なものまでさまざま。これを受けて、アスペルガー症候群や統合失調症などをかかえる人たちにどう対処すればいいのかを学ぶ学習会が開催され、全学の教職員約100名が参加して、精神科医のプレゼンテーションを聴いた。また、文学部教授会では、指導教員による事情説明がなされ、「残念きわまりない」の言葉に、全員が沈痛な思いを抱いた。授業に欠席がちな学生に対して、所属分野や指導教員が中心になって、これまで以上にコミュニケーションをとっていくことの重要性を確認した。退学・休学者も微増している。平成22年度において、約640名の学部生のうち、退学者は6名。その半分は「勉学意欲喪失」を理由にあげる。休学者は28名。そのうち16名が「進路再考」を、2名が「出産・育児」を理由とする。全体の5.3%の学生のこととはいえ、現代の若者像が垣間見える。いっぽう、学部長や学長との懇談会で見せる堂々とした意見の開陳、また「きらめきユースプロジェクト」や熊粋祭で示すみごとな企画力や創造力、それに学生寮の自治管理・運営能力には、頭が下がった。
Self-Responsibility 4
「英文学史」の件、英文専攻の学生として押さえておくべき最低限の知識を、視覚教材を多用しできるだけわかりやすく伝えようと、精一杯準備をして授業に臨んでも、その気持ちが学生に伝わらないむなしさを、先日書いた。つたないながら英語を使うのは、受講生の英語力を少しでも上げるため、世界レヴェルを意識してもらうためだ。この悔しさをある人に話したら、「キリストがゲッセマネの園で味わった悲しさに比べたら、たいしたことない」と言われた。イエスが人類の運命をかけて血の汗を流すほど懸命に祈っていたときに、弟子たちは何と「寝ていた」というのだ(Matt 26.36-41; Luke 22.39-46)。イエス曰く、「心は熱しているが、肉体が弱いのである」(Matt 26.41)。なるほど。「学生たちの心(spirit)は学ぼうとする意欲を持っていても、肉体(flesh)が弱いから眠ってしまう。彼らを恨まず、おまえの気持ちを彼らの『心』に訴えよ」ということか。ちょっとした出来事というのは、こういうことです。
Farce
「自分のしたことの責任は自分でとる」、そんなあたりまえのことが大学では通用しないのか。「この単位がないと、卒業できない。進級できない。就職がチャラになる。だから、なんとかなりませんか」--成績不振の理由を聞くと、「準備不足でした」「バイトが忙しかった」「朝、起きれなかった」「試験が難しすぎる」・・・。「まじめにがんばった人や、自己責任を認めてやり直した人が馬鹿を見るような不公正なことは、わたしはしたくありませんし、すべきではないと思います」と答えると、「再試をしたこともあると聞きました。なぜ今回はだめなのですか」。・・・(絶句)。

周囲に意見を聞くと、温情派が多く、「この就職難の時期にせっかく就職が決まっているのなら」「大学を企業と考えたら、学生は顧客。生き残るためには、顧客サーヴィスも重要では」「我を通すと、保護者が出てくる。煩わしいことにはかかわらないほうが利口では」・・・。多かれ少なかれ、毎年繰り返される茶番・・・。鬼教師と恨まれようと、冷酷無比と疎まれようと、信義をとおす。(「出来事」は次回に。)
プロフィール

Tat

Author:Tat
在京私大に勤める英文学専攻教員です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
現在の閲覧者数: